土をつくるいきもの「微生物」

土の微生物はいろいろな分け方がありますが、ここでは大きく3つに分けてみます。
①植物の根圏域(根の0.1ミリ周り)を繁殖場所とする、植物と共栄あるいは寄生関係にある微生物
②土の物質循環を担っている、有機物を分解あるいは合成する微生物
③科学的には働きがわからないその他の微生物(土壌微生物の99%)

雑草を含め植物が生育すると、植物とともに繁殖する微生物が活性化され、有機物が投入されると分解微生物が活性化されます。

植物と共生して窒素を固定する微生物としては、マメ科の根に共生する根粒菌、さとうきびやサツマイモの組織内に矯正するはアゾスピラムやハーバースピリラム、稲の根圏に矯正するアゾトバクターなど、片利菌には根圏微生物や葉上微生物など、病原菌にはプザリウム菌やプラスモディフォラー菌などが知られています。

有機物を餌とする微生物にはセルロースを分解するトリコデルマ、キチンを分解する放線菌、リグニンを分解する担子菌などが知られており、投入される有機物の種類によって活性化される微生物が異なります。

例えば、キチン質に富むカニガラを投入すると、善玉菌の放線菌が活性化されて、フザリウム菌などの土壌病原菌の増殖が抑えられます。
また、セルロース質に富むイナワラを投入すると、善玉菌のトルコデルマ菌が活性化されて、ビシウム菌などの土壌病原菌の増殖が抑えられます。

微生物は温度、酸素、水分などの環境条件、基質(餌)などの好みが強いので、耕転、施肥、播種、定食、収穫などによってかく乱されると、その条件にあった微生物が急激に繁殖するため、土壌微生物層は単純化します。

分解は大きな分子から小さな分子えと進み、それに伴って、微生物も遷移します。やがて、遷移がある程度進むと微生物は増殖を停止し、多様な微生物相として安定します。
特に、有機物が投入されると、大きなかく乱を生じますので、3週間以上放置して、微生物が安定してから、農作物を栽培するようにしましょう。

苗の善し悪しを決める根圏微生物
根圏微生物は苗の時に一旦形成されると、一生植物とともに繁殖するため、良い微生物が共栄した植物は病害虫に強く生育も良く、悪い微生物が共栄した植物は病害虫にかかりやすく生育も悪くなります。
苗5分あるいは7分作と言われる1つの所以です。
植物の根は地上部の生育と連動して成長します。発芽すると、主根が土の中に伸長し、次に主根の周囲に毛細根が伸長してきます。
毛細根の先端は根冠細胞が根を守っており、根幹細胞は根の伸長に伴って、2時間から4時間に一回、根から脱落します。脱落した根冠細胞には土の微生物が取り付きこれを分解して、根圏微生物層を形成します。また、植物の根は養水分を吸収するばかりでなく、不要になった物質を排泄します。排泄された物質は根菌微生物によって分解され、再び作物が利用できる形に変化するのです。